第1回YILユニットシンポジウム開催報告 基調講演2

「YILユニットシンポジウム―情報・AI・光・量子―」を開催しました。基調講演2では、「次世代計算基盤とAIが切り拓く未来社会-富岳NEXTからエッジにおける知能化まで-」と題して、次世代計算基盤として開発している富岳の次世代のスーパーコンピュータの開発を、慶應義塾大学理工学部情報工学科教授、理化学研究所計算科学研究センター次世代計算基盤開発部門部門⾧の近藤正章様からご紹介いただきました。

富岳は、国内最高性能を誇るスーパーコンピュータとして、高い計算性能を備え、汎用的なアーキテクチャに基づいて開発されたことで幅広い応用分野へ対応しています。成果には、新型コロナウイルス対策としての高精度・大規模な「飛沫シミュレーション」、線状降水帯の予測、流体数値計算、飛行機の空力設計、都市で災害が発生した際の避難・誘導のシミュレーション等があります。富岳は、準備も含め約10年のプロジェクトでした。次世代計算基盤の検討は、2022年度に構想立案、調査研究へ着手し、2025年4月から開発プロジェクト(富岳NEXT)を進めています。

富岳NEXTプロジェクトは、開発方針として「Made with Japan」を掲げています。日本のITの強みある技術を発展させ、弱みを克服して、主権の確保と産業創出をめざしています。そのために、構想段階から日本で全部を作るのではなく、国際的に連携して開発を進め、国際的なエコシステムのプレイヤーとして頭角を現し、且つ、技術的チョークポイントを押さえることを重要視しています。

次世代計算基盤の構築については、RIKEN、富士通、NVIDIAの体制で検討を進めています。世界的に訴求力あるシステムを構築し、国内技術を積極的に活用して、エコシステムに組み入れて世界へ展開することを目標としています。

システムの性能目標は、国の検討会議で示された内容に基づいて設定し、仕様を検討してきました。システム・アーキテクチャーは、RIKEN、富士通、NVDIAに国内開発者の協力も得て仕様検討を進めています。スーパーコンピュータの性能トレンドを踏まえて、富岳NEXTでは、ハードウェア性能に加えて、ソフトウェア性能、AIハードウェア性能を掛け合わせ、アプリケーション性能最大100倍をめざした検討を進めています。

また、富岳NEXT は「AI for Science」を最重要ターゲットに据えています。AI、HPC融合のためのマシン開発を念頭におき、AI技術をScienceに活用するための重要なプラットフォームと位置づけて、大規模シミュレーションとAIの高度な融合、大規模データ解析の実現、AI Scientist、という3つの類型から「AI for Science」の実現に必要な計算基盤の検討を今後行っていきます。そして、富岳を稼働させたまま移行を行い、2030年稼働開始をめざしています。

最後に、世界的に訴求力のある国産技術の高度化や技術継承、グローバルマーケットへの展開を目標として推進しつつ、最終目標であるアプリケーション、Scienceの高度化に向かって開発を進めていくと述べました。